【瞳孔機能検査】を導入するに際し

 糖尿病性神経障害は、糖尿病患者さんにおいて様々な病態を引き起こし、 QOL(一般に、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のこと)を著しく低下させるのみならず、 糖尿病性自律神経障害(DAN)、とりわけ心血管系DANは、重症化すれば突然死の原因ともなります。 糖尿病患者さんの生命予後にも影響を及ぼす可能性があるのです。
 DANを早期に診断・治療し、悪化させないことが重要なのです。
 糖尿病患者さんにおいてDANは、糖尿病末梢神経障害(DPN)がみられない段階から、比較的早期に出現すると云われています。なかでも瞳孔機能異常はDANの最も早期に出現する症状と言われています。
その為、瞳孔機能検査は、従来から用いられている心血管自律神経機能検査と同等若しくはそれ以上に、再現性及び感度の点で優れ、早期DPNの指標でもある神経伝達速度(NCV:筋電図検査)におけるF波潜在時とともに早期神経障害の診断に有用であると言われています。ですが、現在の一般臨床の場では、まだまだ浸透されておりません。
そこで当院は、瞳孔機能検査を行わせて頂き、早期DANの評価法について検討することを重ね、強いては、
糖尿病患者さんのQOLの向上に努めて参りたいと考えております。
                                            HDCアトラスクリニック 院長 鈴木 吉彦

【瞳孔機能検査】とは

 糖尿病の自律神経障害の診断を目的とした検査です。

 「電子瞳孔計 メンタルスコープ」という機器で検査を行います。

 瞳孔をタブレット端末でリアルタイム表示し、

 瞳孔の面積や直径の計測、光刺激による瞳孔の対光反応計測を行い、自律神経障害の有無を調べます。

  •  【測定方法】
  • ● 目に機械をあてると光が発せられます。
  • ● まばたきを6秒間だけ我慢して測定します。
  • ● 痛みなど全くなく、すぐに終わる簡単な検査です。
  • ● 光刺激に対する反応を解析した結果から自律神経障害の有無を判断します。
             
                       

【瞳孔機能検査】を行う意義について

  • 瞳孔機能障害があると、暗い所から明るい所へ出るとまぶしく感じます。
  • 自律神経障害によるもので、糖尿病に特有な合併症の一つです。
  •     
  • 糖尿病の初期から異常が認められ、対光反応の異常は末梢神経障害あるいは
  • 糖尿病性網膜症の出現・進展とよく一致しており、その早期診断に有用です。
  • 近年、自律神経障害の合併が糖尿病患者の予後を著しく短縮することが示され、
  • その早期発見が重要と考えられます。